IdleTalkNo.4

雑談のコーナー

料理や、その他の項目での雑談のコーナーです。
ご参考になることもあるかと思いますので、ご興味、お時間のおありの方は
どうぞ、ご覧下さいませ。不定期ですが時折、内容を追加いたしております。

◆ 京都のお茶屋遊び・・・
  京都の有名なもののひとつに舞妓、芸妓さんたちと一緒する「お茶屋遊び」がございます。これについてのイメージはとにかく「一見さんお断り」で気位が高く、寄せ付けてもらえないという処ではないでしょうか?今回の雑談ではその点について少々、解説をしたいと思います。
まず、お茶屋(舞妓や芸妓さんを呼んで遊ぶ座敷)や置屋(舞妓、芸妓が所属し、ここより派遣される)が並ぶ花街(京都では「はなまち」と言わず「かがい」と言います)には5つの場所がございます。
有名な祇園、これには祇園甲部と祇園東(昔は乙部と言いました)、唄に有名な先斗町、歴史的には最も古い上七軒(かみひちけん)、そして宮川町の5つです。あと例外的な形で残った「島原」を加えると6つになりますが、普通に機能しているのは5つの花街です。祇園があまりにも有名なので他の花街をご存知なかった方も多いのでは?・・・

ではまず何故、一見さんお断りなのか・・・これにはそれなりの理由があります。ひとつとして、その料金システムから生まれる理由があります。まず舞妓や芸妓を呼びたいと思えばお茶屋に予約を入れます。そこでお気に入りの人があれば指名をします。空きがあれば予約が成り立ちます。舞妓さんたちと一緒するのはお茶屋ばかりとは限りません。料亭に連れて行くこともできますし、他の飲み屋などに連れてゆくことも出来ます。但しすべてお茶屋に連絡しその旨を告げ、所在を明らかにする必要はあります。たとえばお茶屋の座敷で舞妓や芸妓を呼んで、そこで食事をし、それから他の酒処に連れて行くと予定します。当然、お茶屋に予約を入れる時点で何時より何時間、舞妓たちに居て頂くかを告げねばなりません。その前後の彼女たちのスケジュールがあるからです。ここで当然料金が発生するわけですが、お茶屋は料理屋ではありませんので料理は料理屋に注文し、料理屋が仕出しします。そこから他の飲処に行った料金もお茶屋を介して行けば、その料金請求は客ではなく、お茶屋に行きます。料理屋からの請求もお茶屋に行きます。置屋からの請求も当然お茶屋に行きます。つまり、その時点では客は一切の支払いはしなくてよく、すべてお茶屋が肩代わりするのです。お茶屋は各業者や他店からの請求があった後にそれを清算し、お茶屋の利益を加算し、初めて客に料金を請求するのです。もちろん芸妓や舞妓の料金の内訳は均一ではありません。人気のある人はその分、ご祝儀代と言いますが、これが高くなります。
このようなシステムですのでお茶屋としても「本日、清算したい」と客が申し出ても金額の提示のしようがないのです。よって、すべて後日清算となりますので、確実に支払ってくれる確かな客でなければ、または確かな紹介者があり万が一の場合はその紹介者が保証してくれるという形でなければ客を取れないのです。
よって一見さんお断りとなってしまいます。

またひとつとして、花街で遊ぶにはそれなりの礼儀があります。たとえば芸妓は芸者とは違います。彼女たちも当然それなりの誇りとプロ意識も持っています。温泉芸者と芸妓を同じように扱う客がいたとしたら彼女たちもたまったものではありません。そういう意味からも「この方は京の花街で遊べるお人」と判断した客でなければ受付ません。紹介のない初めての人はその人がどんな人かは解りませんので当然、受付けてくれません。これは女ばかりの世界が男の魔の手より自分たちを守る自衛手段として自然と成り立ったシステムなのです。お解り頂けましたでしょうか?

それでもお茶屋遊びをしてみたいと思われる方々のために、近年、ネットで申し込める「模擬的お茶屋遊び」を行っている処や「芸妓を呼べます」と謳っている料理店のページも時折目にします。ご興味のおありの方はこれらをご利用されれば一見さんでもご経験できると思います。これはこれで面白いとは思います。ただ、しかしながらこれらはあくまで模擬的なもので、本来のお茶屋遊びの楽しさを味わいたいと思えば、誰かその道の詳しい人に同席させて頂いてその人より遊び方を習い、かつ確かな紹介をしてもらいお茶屋通いをし馴染み客にならなければ無理と思います。京都の花街も保守的な要素は強く、馴染み客にならないと解らない部分も多いようなので。
ちなみに京都人がすべてお茶屋通いをしているわけではなく、お茶屋通いをしている人は全体のごく一部の人たちですので、「京都の人だから、お茶屋を紹介して」と言ってもまず無理です。たとえば東京の銀座のクラブ通いをしている人もごく一部の方々でしょう。これと同じことです。
これから情報社会の発展と共に、京都の花街も変わってゆくかもしれませんが・・・
最後に花街で使う言葉の豆知識の紹介を少々。花街の女性たちは客の呼び方が決まっています。馴染み客ならば名前で呼ぶこともありますが普通はその人の立場で呼び分けます。年齢はまったく関係なく、社長や自営業、料亭の女将や飲処のママさんなど、その規模には関係なく経営側の人たちのことを「おとうさん・おかあさん」と称し、いかに大会社の方であろうとも社長でなければ肩書きや年齢に関係なくすべて「おにいさん・お姉さん」です。はじめて芸妓と接する機会があったとして、「失礼どすけどお客はんは、おとうはんどすか?おにいさんどすか?」と聞いてきたとしたら、どちらでお呼びすればよいか?ということです。
また京都では舞妓を「舞妓ちゃん」、芸妓を「芸妓はん」または「芸妓さん」と呼びます。舞妓は芸妓になる前の立場で年齢も若いので可愛く「ちゃん」で呼びます。不慣れな方は「舞妓さん」と呼んであげる方が綺麗かもしれませんが。

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