IdleTalkNo.8
雑談のコーナー
料理や、その他の項目での雑談のコーナーです。
ご参考になることもあるかと思いますので、ご興味、お時間のおありの方は
どうぞ、ご覧下さいませ。不定期ですが時折、内容を追加いたしております。
| ◆ 料理の移り変わり・・・ |
| 前回のお話より随分と時間が経ってしまいました。お読み頂いている方々には誠に遅延な更新で、恐縮に存じております。 今回は「料理の移り変わり」をテーマに少し考えたいと存じます。 当然の事ながら、いつの時代も人が生きるには「食」が必須であり、また他の動物と異なり、人類は食にこだわりがございます。極端に言えば犬や猫も気に入らない餌には見向きもしなく、また場合により飢えても手を出さないという場合もあると聞き及びます。我々人類は飢えても気に入らない食材には決して手を出さないという事は逆に聞きません。という事は人類の方が優柔不断なのかも・・・とも言えなくはありませんが、これは余談で。 このサイトを出させて頂いております我々もサイト発足より十数年が経過し、ますます年齢を重ねた老体になってまいりました。今回のお話はその老体の繰言やもしれませんが、おつきあいを頂ければ幸いでございます。 味に国境なし・・・？ このお言葉を聴かれた方々も少なくはないと思います。特に近年に耳にする言葉となり、そのように発言されておられる料理人さんもおられるのも確かです。 しかし・・・本当にそれで良いのでしょうか？ 美味なものはどの国の、どの民族が食しても美味と感じるであろうという意味であれば、それは確かにそうかもしれません。ですが、単に料理法や食材選び、演出に国境がないと考えるのであれば私たちは反感を憶えざるを得ません。地域や国境も無視するのであれば「京料理」は一体何物なんでしょうか？まったく意味がなくなってしまいます。広くは日本料理というジャンルさえ意味がなくなってしまいます。 古都、京都でも近年、無国籍料理とか創作料理という看板が目立つようになりました。今あるものより新たな物を造り上げるという料理人さんたちの努力は良く解りますし、その情熱がおありだからこそ料理の発展もあるのだと思います。 しかしながら、その内容は？というお話になると疑問が生じる場合もございます。我々が若い頃、また我々の諸先輩方のころより様々な時代の料理に接してまいりましたが、当時に飛び出した「流行り物」で、今尚続いている料理がほとんどございません。それは何故なのでしょうか。ふと思い返せば我々も、その流行り物の中で、あれは良かった、また是非とも食べたい・・・と思える料理がほぼ思い当たらないのです。ということは、さして美味ではなかった。目新しさだけであった・・・のではないかと。 親しいベテランの料理人さんたちともお話をし、ご意見も伺いました。 そこでまとめたお話を致しますと、結局は造りだしたは良いが、完成度が低かった、ゆえに自然淘汰されて消えていってしまった・・・というお話にまとまりました。これはかなり説得力のあるお話でした。伊達や酔狂で１２００年の料理の歴史がある訳ではないとのご意見もお聞きし、なるほどと思いました。 その歴史の中で、色々な試行錯誤、技法が駆使されて様々の料理が生み出されてきた。しかしながらその中で完成度の低い物は自然淘汰され、完成度の高い物のみ受け継がれてきた。これはまぎれもない事実で、ゆえに京料理という確立された分野が成り立っていると再認識させて頂きました。やはり料理は文化でございます。そこで、戻りますが「国境なし」で良いのかと。 各国には当然ながら、その国の文化、民族風習や庶民文化、様々な様式などがございます。地球という星が一つの考えにまとまり、諍いや紛争もなく、惑星単位での国家形成がなされたならば、それはそれで素晴らしいことかと思います。まず、戦争がなくなりますでしょうし、くだらない紛争もなくなるでしょう。ですが、今の現実はそうではありませんし、様々な多用な文化、風習が基礎となり、人々の営みがございます。そこで、そう簡単に国境や文化を超越した完成度の高い料理が生まれるものなのでしょうか？ また、どこの国、地域に行っても同じような料理ばかりとなったら楽しいでしょうか？ 今一度、現代の料理人さんたちに深く考えて頂きたいものだと感じてしまいました。近年ではフランス本国のシェフたちも、ようやく日本料理の素晴らしさを理解するようになったと聞きます。それはとても良い話だとは思いますが、結果、日本の昆布や鰹節を使ったダシを使うようになっているとの事実もございます。日本の昆布や鰹節を使った料理が本当のフレンチでしょうか？美味だから使いたい、との料理人さんのお気持ちは良く解りますが、我々としましては非常に複雑な心境になります。色々な国、地域での個性のある料理が食せ無くなるような、どれも似たものになってしまうような、そのような料理は欲しくは無いのですが。皆様はどのようにお考えでしょうか？ では、次回をお楽しみに・・・ |
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